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ものは思いよう

皆さま、こんにちは。高橋です。
だんだんと春の気配が近付いてきていますね。
梅の花が満開になっていて、春の香りがふわっとただよってきます。

さて、今日はその『梅』から連想して、一つ昔話を取り上げてみたいと思います。

『ものは思いよう』というお話です。

 昔々、お梅というお婆さんが山寺の近くに茶店を開いていました。
お梅婆さんは一人でこの茶店を切り盛りしていましたが、近ごろ、晴れ空を見ては涙を流すことが多くなり、お店の仕事も手につかなくなっていました。ある日は、太陽に雲が懸かっただけで叫び声を上げ、道行く人々を驚かせました。そんなお梅婆さんの姿を見たお寺の小僧さんは、何か訳があるのではないかと思い、お寺に帰って和尚さんにそのことを話しました。

 翌日になって、和尚さんは茶店に行き、お梅婆さんに訳を尋ねました。するとお梅婆さんは「長男が傘屋へ奉公に出ているのだが、晴れの日には傘は売れない。長男のことを思うと晴れの日でも涙が出るのだ」と泣きながら話しました。
それを聞いた和尚さんは、「世の中悪いことばかり続くわけではなく、良いこともある。また雨の降る日があるのではないか」と慰めました。
和尚さんの言葉を聞いたお梅婆さんは、晴れの日に涙を流すことはなくなりました。

 しばらくたったころ、村に久々に雨が降りました。和尚さんは、さぞお梅婆さんは喜んでいるだろうと思い、小僧さんを連れて茶店に出かけていきました。
ところが、お梅婆さんは喜ぶどころか雨空を見て涙を流していました。和尚さんが訳を聞くと、「次男が草履屋へ奉公に出ているのだが、雨が降っては草履は売れない。次男のことを思うと雨の日でも涙が出るのだ」とお梅婆さんは話しました。

 それを聞いた和尚さんは「親というもの心配は尽きないがこう考えてみてはどうか。晴れの日には草履が売れているから次男は喜び、雨の日には傘が売れるから長男が喜んでいると。そうしたら泣く暇がなくなる」と話しました。
和尚さんの言葉にお梅婆さんは笑顔を取り戻し、晴れの日でも雨の日でも元気に茶店を切り盛りできるようになったとさ。

皆さん、このお話を聞いてどんなことを感じられましたか?

私はなんだか、認知行動療法の考え方に似ているな~なんて思いました(*^_^*)

1つの思いにとらわれるのではなく、発想を転換して別の角度からものごとを見てみるといいよ~という教訓が込められている気がしました。

昔から伝わってきたお話にもこんな生きる知恵が入っているんですね。

今日は、私が小さな頃から親しんできた日本昔話より、お梅婆さんの昔話でした。

by clovercl | 2015-03-11 09:22 | 認知行動療法 | Comments(0)  

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